目覚めよ!

文明批判と美と心の探求と

我々は原始人である


たとえば

自然は良いものであるという

考えは誤りで

自然は良いものではあり得ず

かつ自然は悪いものでもあり得ない

という考えこそがより望ましい


われわれの中で

自然はどこまでも叫ぶが

われわれの中で

自然はどこまでも排除されていく


われわれ人間はそうした矛盾性の内にある生き物である


かならず世界は良くなる保証などはなく

むしろかならず世界は悪くなっていく


ところがこのことを

ひとつ宗教のみが予言していたのである


ゆえに本当のことを本当のままに語るのが

宗教の役割なのだ


われわれの中身には良いものではなくそして悪いものでもない

何ものかが渦巻いている

滔々として常にそれは


人の心を変える一行

人の心を変える概念なんてどこにもない

なぜなら我々はいまだに原始人である


原始人とは

本能にのみ大きく寄りかかり生きる者のことをいう


だからどんな高級な概念もこの世にはない

原始人には高級なことなど考えられないのである


分析力でこの世を切り刻むこと

まずこれが高級な行いではない


なぜ高級な所業ではないのか


ならばまず森へ行ってみたまえ

そこには何より調和がある


ならばまず海へ行ってみたまえ

そこには何より悠久の時がある


あろうことか、我々人間はその調和と時間さえをもぶち壊そうとしている

あの調和と豊かさの履歴を書き換えようとして来たのだ


満ちる海の豊かさと

命に充ちた星の静けさを

永久に抹消しようとしているのだ


ではその悪魔の所業を許しているものとは何だ

一体何なのだ?


それは君ら一人一人に刻まれていよう原始人のことだ

原始人はまず何より貪欲である


そして反省しない

自省の心

自制の心に

欠けているのである



そうして皆で同じように繋がりこの世がさも良いものであるかのように振る舞う

愚かな人間たちよ

もはや滅びの時は近いぞよ

今すぐに宗教の門をたたくのだ

そうでもしなけりゃやがて全滅だ


理性の皮を被った原始人たちよ

あなたがたの精神はすでに腐りかけている

本能を追求せしかどで

そうした呪いを受けた



狂った我々を修復させるものはあくまで自然である

満ちる海の豊かさと

命に充ちた星の静けさとを


直観するだけでそのことは成るのだ

豊かだと思っていた我々の心こそが

実は最も貧しいものだった


貧しい=自己本位であり

豊か=利他行のことだ


利己的資本主義と利己的科学技術がこの世を滅ぼすことだろう

いやそうではなく人間を滅ぼすのである


人間は己自身を滅ぼす為に

今を生きているのである


さても私たちの行っている

この悲喜劇の空しさとは

一体何なのだろう