
一色産ウナギ
IKEA長久手店の近くの人と数週間前に知り合ひとなり、無論のこと面白ひ人だからこそ知り合ったのであり、そんなこんなでむしろ普通の人にはほとんど興味が無ひわたくしである。
八歳年下なのだが兎に角面白ひ奴で亡くなった浅田 真央の母親の知り合ひでもあったさうで浅田 真央自身のことも良く知って居るさうだ。
此の人、離婚後派遣社員の娘と共に住んで居るさうだが兎に角自然が好きだ。
其れでかっては愛知万博の開催を反対して居たさうである。
ちなみにわたくしも其れを反対して居たんである。
さらに長良川河口堰建設反対もして居りさうした団体に属し兎に角日々反対!反対!と叫んでおった。
何故反対したのかと云ふに、万博の会場予定地には海上の森と云う自然が拡がり其れを一部壊して展示物など造るから森によからぬ影響が出やうから其れは止めよ!と言って居たのである。
さて、彼もまた地元民として其の海上の森の開発を大反対して居たのださうな。
其処のところは全く共感し得る。
わたくしは元々左翼何でも反対派だったのであり、とりあえず自然破壊には何でも反対して居たが逆に今はもっと過激になり文明其れ自体に反対するやうになってしもうた。
結局其れからは海上の森へは行って居ない。
特に今は何せ車持ってないので自転車で移動出来る範囲でしか生きて居らず。
昔訪れた海上の森には凄ひところがあり其処を三度程訪れたものだったが其れがココだ。
知らなかったのだがココは自然保護運動により残されたとのこと。
だが、本日の問題は其の自然破壊と食欲の関係性、其の欲望と資源に於ける相剋しかつ相即する問題に絞られておる。
即ち夏場は特に「ウナギ」が食ひたひ。
さうして金さへあれば毎日食ひたひ。
其の食欲の本質は性欲によるソレと同じだ。
むしろ食欲は断ち難ひと云ふ意味でより根源的に人間を規定する煩悩だ。
ところで其の「ウナギ」が今高騰しておる。
兎に角高くうな重が四千円近くにもなる。
勿論シラスウナギが獲れぬから高ひのである。
かうして「ウナギ」は結局日本人が食ひ尽くして仕舞ったのか?
どうも其れよりも気候変動の方に根本の問題があるのではないか。
「ウナギ」は他の食品とは異なり、其れを食せば確実に精が付く。
要するに夏バテには効くのである。
「ウナギは高タンパク、高ビタミンA・ビタミンB1・ビタミンB2、ビタミンD、ビタミンEやDHA・EPA、 ミネラル(鉄、亜鉛、カルシウム、銅)が豊富で消化も良く、日本では縄文時代の遺跡からも食用としたウナギの骨が出土している[43]。」
此のヴィタミンAの効用が矢張り大きひことだらう。
其れから虚弱体質気味の人には良く効く。
ところがそんなうなぎに限り今値段が高騰して仕舞って居るのだ。
其れでもってまあ今のうちに食へるだけ食っておかう、と云ふのがわたくしの考へである。
別に保護せよとかそんなことではなくどうしたら美味ひうな重が食へるのかと云ふタダ其の話ばかりなのだ。
さて、昔塾の先生を辞めてから市内の学校へ教材を配達して回って居たのである。
其の折に其の会社の会長を小中学校の校長会へと車で連れて行ったものだった。
其の爺さんは戦前の師範学校出だものだから校長連中が決まって学校の玄関で皆頭を下げつつ迎へ入れるのだ。
其れでもって市外の学校を訪れたこともあった。
其の折に其処での名物のナマズの蒲焼を御馳走になったことがあった。
其の爺さんはわたくしが他の会社へ行ってからすぐに死んじまったのださうな。
で、実は其の面白ひ人である知り合ひがウナギを釣りにいくのである。
しかもアノ清流の長良川へ釣りにいくのだ。
二週間程前其処で釣ったウナギ三匹をスマフォの画面でもって見せて貰った。
うわー、何て立派なんだ。
其れが太くて長くて兎に角立派なのだ。
長良川 天然うなぎ 丁度こんな感じだらうか?
尚我が家はここ五年程うな重には凝って居る。
凝って居ると皆に言ひふらして居たのでたとへば従妹が有名店のうな重を買って来ても呉れる。
確かに此処のウナ重弁当は美味ひ。
肉厚で、どうも根本のウナギの質が違ふやうだ。
尚ウナギの質が良くなればウナギの匂ひに臭みが混じらなくなって来る。
わたくしはさうした感覚上のものが超敏感なので其処は良く分る。
が、相変わらずウナギの皮などは食って無ひ。
ウナギの皮は気持ちが悪ひのだ。
でも實はもっと美味ひウナギが何処かにあるのではなひか?
まあ浜松の方とかそちらにもありさうだがとりあへず天然ウナギの方はどうなのだらう?
實は昔家の近くに天然ウナギの専門店さへもがあった。
だがわたくしが大人になると同時に其れは閉店して仕舞ったのだ。
…昨日ー土用の丑の日ーはピアゴで蒲焼を買って来て食べましたよ。どうしてピアゴなのか?炭焼きでもって焼きたてが買へるから。其れも宮崎産は避け三河産でもって焼きたてなのを選んで買って来た。二人前でなんと六千五百円もした。ワタシの前に並んだ少し品の良ひご婦人など何と四尾も買っていったのだった。
で、其の蒲焼を家で良く見ると何と其れに限って焼きが甘ひ!馬鹿者!是非いま一度焼き直さねばなるまひ。アレ、たれ、たれさへ付いて居らぬではなひか。しかも山椒も付ひて居らぬぞ。ハイ、母ちゃん早うタレ作って。
うーむ、旨ひ、何とか食へるぞ。コノウナギは臭くは無ひ、食へる、何とか食へるぞ。どうだ、母ちゃん?うーん、何とか食へるかなあ。
…あほらし。六千円は如何にも高ひですよ。ボクは二日前も行って来ました、長良川へとウナギを釣りに。
…エッ?また行って来たの?其れでもって釣果はどうだったの?
…ボーズです。ボーズのこともまた多いんです。
…其れは其れは。でも長良川へ行くだけでもスッキリ気分が晴れることでせう。
…うな丼を食ってから、スーパー二店へ視察に行っても来ましたよ。高級スーパーサポーレ→何と蒲焼一尾が二千五百円也。つまりは安ひ!しかも三河産で肉厚其のもののウナギが。ブレザー着込んだ売り子のおっさんが物凄く売り気でいつの間にか近寄りわたくしの耳元で囁く。コレこそがサイコーのウナギで御座ります。こんなものは他には何処にも無ひ、サアサ是非お買ひ求め下さりませ!
イオン新瑞橋店→何と1500円位から六千円位まででサイズ、産地などが選べつまりは選択肢が幅広くある。
ただし二店ともパック入りのウナギだった。
…まあボクはウナギなんて買やあしません。何せ高ひですから。兎に角釣る方が安ひですよ、釣れれば其れを捌ひて後は焼くだけのことですよ。
そんな訳で今年の土用の丑の日は兎に角大変であった。
まさにウナギ三昧の日だったのだ。
ただ、むしろどうしやうもなくウナギに関する課題が残って仕舞った。
其はズバリ長良川の天然ウナギを何とかして彼から手に入れ其れを焼ひて食ふ、と云ふことのみ。
長良川の天然ウナギをバリバリと皮もろとも食ひ是非精力を付け社会に立ち向かふ。
もはやこのことのみ、此のことだけが我が望み、我が夢、我が欲望の全てなのじゃ。