70年代とは或は最後の詩の時代であったのかもしれない。
詩の時代即ち光と影が交錯する時代である。
どうも其処が人間の精神に於ける分岐点だったのかもしれない。
人間の精神に於ける合理化としての分岐点だったのかもしれない。
80年代に入ると途端に妙なオプティミズムが世界を覆うやうになり精神の暗部が、其の陰の部分が見えなくなっていく。
其のオプティミズムとは無論科学技術を推進することによる社会的な安定度の増加から齎されるものだ。
かうして公害により破壊された自然環境が科学技術の進歩により回復し始める。
また其れに伴いますます豊かになる。
だが人間の精神が本質的に変わるのはまさに此の時からだった。
まさに其処では精神の合理化が行われ悩まない人間、恨まない人間が以降増えていくのだ。
さらに科学技術はほとんど神の如くに信奉されるに至る。
だが果たして其の信心は其れで良かったのだらうか。
信心の方なら矢張り神仏へ向き直ることでさうすべきではなかったか。
でもまだ時間はあった、何故なら廿世紀末と云う時間をまだまだ過ごさねばならなかった。
わたくしが世界の抱える問題を認識し得たのは女と別れた1999年のことです。
それまでは此の世界が問題を抱えて居るにせよ其れはあくまで他人事のやうでした。
故に気をつけなくちゃならない。
家庭を持って居たり好きな女が居たりすると決まって男性は真理に対して鈍感になります。
ところが真理に対して鋭敏な男性は大抵家庭を持てないしたとへ女が居ても逃げていくのです。
ところがちゃんと妻子がありながら突如失踪した吾妻 ひでおの場合は少々事情が違ふやうだ。
吾妻 ひでおはヤッパリ変わって居ますね、変わり者のわたくしから見ても矢張り相当な変人です。
でも吾妻 ひでおは漫画での絵が上手くて人物が皆可愛いんです。
だから内容は過激なんですが嫌味はない。
さて言い忘れて居ましたが吾妻 ひでおは相当なSFファンです。
さうしてわたくしもかっては相当なSFファンでした。
SF小説は多分大學の頃から読み始めたのだと思ふ。
高校までは純文學一筋でしたからSF小説など読んで居ませんでした。
が、実は子供の頃にすでに読んで居りました。
小学校の図書室に何故か少年少女SF全集みたいなものがあり其れを片っ端から借りて読み漁って居たのです。
確かハインラインの小説の子供版だったか、電子計算機のやうな大きな機械に人間の脳が埋め込まれて居て云々と云う話があり兎に角其れが怖かった。
当時わたくしは優等生で他の子から屡尊敬されて居りました。
担任の先生もわたくしが利口なことを認めて居り君ならN中へ行けることだらうが公立へ行った方が良い、との進路指導があり何故かN中とは縁がなかったのです。
尤もわたくしの父親はN中、N高、N大へと進んだのでしたが。
N中、N高、N大はカトリックのミッションスクールです。
しかも英文科の出です。
にも関わらず極めて下品なオヤジで酒ばかり飲んで居てまたゴルフばかりをして結局70歳で死んで仕舞ひましたが。
尚わたくしは父のやうに英語が出来ないので憧れの早稲田へはいけなかったのです。
尤も其の前は京大一直線でしたが数学の根本の意味がそも理解出来ず赤点ばかりで其れで此の豊かな感性を生かして国語と社会科だけで勝負して居たのでした。
いえ社会科の方はちゃんと勉強しないと決してクラスで一番にはなれませんよ。
吾妻 ひでおはかのSFマガジンに『メチル・メタフィジーク』と云う作品を連載して居りかつまた『不条理日記』でもって星雲賞を受賞しました。
『メチル・メタフィジーク』は非常に面白かった覚えがあります。
『メチル・メタフィジーク』の単行本も何処かにある筈ですがわたくしが家で使う二部屋のうちの一部屋がグチャグチャで入れず探せない為検索して内容を読んでみたところ其の内容の全部を思い出せたのです。
『メチル・メタフィジーク』の連載は1980年とのことですのでまさにわたくしが大學へ通って居た頃のことです。
然しまあ其れも勉強と云えば勉強でした。
ですが試験の時は元々プライドがあるので猛勉強して優を取って仕舞ひます。
つまり全優ですね、全優。
教養課程での体育以外は。
さらにかの『謎の円盤UFO』も受賞していたんです。
『謎の円盤UFO』は我我55歳~65歳の世代にとっては最高に懐かしいSFドラマです。
コレがTVに流された頃私はまだ小学生でした。
ですが今見ても如何にも英国流に洗練されて居て素晴らしいSFドラマです。
其の内容がではなく俳優さんやSFメカの部分が確りとして居てとても良い訳です。
さらに此の女には参りました。
小学生にはまさに目の毒でした。
此の女のもっこりした胸、そして超ミニスカートの下に突き出た白い二本の足が一小学生には余りにも刺激的でもうこれ以上視てはいけなひもののやうにいつも感じられて居た。
まあ今視ても充分に煽情的でありつまりはエロい。
エロいと云えばかの吾妻 ひでおはエロ人間そのものです。
吾妻 ひでおはヲタク系のエロつまるところはロリコンブームを巻き起こした教祖とされても居るのださうですが其の部分とかってのSFマニアとしての彼とはどうもイメージが結び付かない。
確認してみても吾妻 ひでおの描くロリコン美少女は余り魅力的ではなく70年代に描いて居たキャラの方が余程にエロでしかも可愛かったとさう思ひます。
ちなみにわたくしはロリコンが嫌ひです。
或いは好きそうに見えるかもしれぬがズバリ大嫌ひだ。
さうではなくエリス中尉のダイナマイトボディ、其れも白人美女のダイナマイトボディは決して見てはいけなひものだけに実は中身までをも見てみたひ。
是非一度位は拝ませて下され。
と云う訳で実にSFチックでしかもエロい今回のお話しでした。