さて昨日はまたイオンへと出向いた。
何故なら売れ残りの夏物シャツの安売りを前回確かめて居たのでまずは其れを買いに行った訳だ。
黑のチェックが細かいとてもダサいシャツー千五百円ーでおそらく若い人は誰も買わぬことだらう。
ところがだ。
ところが私には其のダサいシャツしか似合わぬのである。
即ち今風の意匠のものを着ると似合わぬばかりかまるで馬鹿みたいにしか見えぬのである。
だから其の種の売れ残り品の安売りの時のみが私に似合う服をまさに購入する時なのだ。
要するに其れ等は意匠が地味過ぎて売れ残るのだらう。
だが私の外観もまた地味なのか兎に角其の種の服だのズボンだのしか似合わぬのである。
尚病院に勤めて居た時に壱歳上のそんな地味な服装が好きな👨が壱人部下に居たが其の人は食う方までもがまるで地味で兎に角栄養を摂らぬのでおそらくは免疫機能が弱ったのであらう、結局還暦にて癌で死んだのだった。
只其の服装の趣味が余りにも彼と我は似通って居たので其処は少し気持ち悪い。
だが逆に私は兎に角食う事が大好きで「色んなものを良く食う」と皆から良く言われて居たのでおそらくは当分の間殺しても死なぬことであらう。
いざイオンへ行けば勿論其れだけではまるで済まぬ。
では何ぞ美味いものでも買って来るのか?
いや食い物を買いに行く時にはさうもならうが今日は目的が違うので食い物には手を出さない。
其の辺りがまさに私の潔癖なところでこうと決めたことしかやらぬのである。
其れでもって無論のこと文房具売り場へ行く。
實は其の新瑞橋のイオンの文房具売り場は大幅にリニューアルされたばかりで以前の雰囲気とはまるで異なる高級感のある展示構成となって居るのだった。
しかも其処にはお目当てのペリカンの廉価万年筆がある。ツイスト・Twist(ペリカン)は捻った曲線が持ちやすさを生む廉価万年筆。
ちなみに此の万年筆の黑軸のものを私は弐、参年前此処で購入して居る。
当時は弐千円近くした非常に個性的な所謂子供へのペン字教育用の廉価万年筆だ。
ところが此のペン、實は大人の手にも余る程の巨大な万年筆なのだ。
筆記状態で178ミリ程もありしかもモンブランのNo,149-愛好家が一度は憧れる作家仕様の万年筆-並に太いのである。
故にこんなシロモノを日本の子供に買って与える親などおそらくは何処にも居ない筈だ。
よってワザワザ此れを購い喜んで居るのはほとんどが我の如き愛好家なのだらう。
其の黑軸のツイストは今どうなりましたか?
嗚呼、其れなら壱ヵ月程前にJS芯を仕込んだボールペンへと改造致しました。
其の改造は穴あけ行程が多く色々と苦労致しました。
ところがボールペンとしては其れは最高の部類のものとなった。
つまりは軽く大きな軸でもって兎に角筆記感が秀逸なのだ。
さうして先日イオンを訪れた折に其のツイストを確認しに行ったところが其れが何と千円にて安売りされて居たのだった。
要するにまるで売れなかったのであらう。
で、其の後ヤフオクも調べてみたのだが千百円で出されては居ても送料がかかるのでまさに此の新瑞橋のイオンのツイストこそがおそらくは此処日本での最安値であらう。
其れで結局此れを選んで買って来たところである。Pelikan ペリカン 万年筆 ツイスト ライム
此のペンは軸の意匠が面白く万年筆として使うにせよまた改造してボールペンとするにせよ色々と使いみちがある。
ペン先を金ペンにすることなども勿論出来るが軸はあくまでチープなのでむしろボールペン化する方が面白いのやもしれぬ。
尚かって私はペリカンの万年筆のコレクターでもあった。
其れも誰も持って居ないやうな高価な限定万年筆を常に弐拾本程も持って居たのである。
勿論其ればかりでは無くもっと實用的なモデルに就いても詳しかった。
兎に角さうしたモンブランだのペリカンだのと云った出来の良い万年筆を集めて居る人こそが偉いコレクターさんなのであり同時に万年筆が良く分かった人だと愛好家の間ではされて居るのである。
特にさうした独逸物は特に関東圏ではほぼ絶対的に権威的な代物だった。
で、無論のことこれだけ理性的な私なのでペリカンの万年筆は万年筆の一流品だと当時からさう信じ込んでも居たのである。
尤も其の信仰だけでは無く實際に独逸の万年筆は良く出来て居る。
特に限定万年筆などは信頼性が高くしかもやり過ぎては居ないモノが多く要するに常に節度があり実用万年筆としての意識レヴェルが高く保たれて居る訳だ。
なのではあるが次第に私はペリカンの万年筆からはむしろ離れて行くこととなった。
其れは何故か?
何処か面白味のやうなものに欠けて居るとさう思うやうになったからだ。
其れ等は多分八拾、九拾点位は取れて居るのだらうが結局其れは私が求める方向性では無かったのであらう。
じゃあ其処でもってアンタは何を求めたのだ?
うーむ、其れは謂わば駄菓子屋や縁日の露店の食い物でのやうな結局チープだと分かっては居ても何処かワクワクして止まぬ其の感じですかね。
まあ其ればかりでは無く高級感の方も求めては居たのだが万年筆に於ける本質的な意味での高級さを戦前の萬年筆に見出した頃から現行品はたとえどんなブランドでも其れには劣るやうに感じられ始めたのであった。
であるから逆に一部に古典的要素を持った伊太利亜の万年筆やまさに合理化などされては居ない中國の万年筆に惹かれて行ったのだった。
但し私は単なるゲテモノ食いなのでは無くむしろ正統派の万年筆コレクターなのだ。
なので当時持って居る万年筆はペリカンとモンブランの万年筆が一番多かった訳だ。
ペリカンやモンブランの趣味もより深まると其れこそ50年代物へと進む訳で其の当時のペリカンやモンブランは確かに出来が良く何が良いかと言えば其のワクワクして止まぬ感じさえもが其処にするのである。
だが其処へと進むことが出来るのはまさに一握りの愛好家だけなのだと思う。
無論のこと私も其の部分は特にペリカンに於いて歩んだ訳だったが何故か我の場合はすぐに其処を飛び越えて戦前の萬年筆へと進んで行った訳だ。
尚申し訳無いのだけれどかってペリカンの万年筆のコレクターでもあった私は今ペリカンの万年筆を實は壱本も使って居ない。
ペリカンは其の「ツイスト」を改造したボールペンだけを使って居ることとなる。
尤も私はペリカンやモンブランの万年筆の価値を否定して居るのでは無い。
謂わば其れは優等生的に信頼出来おまけに如何にも高級な万年筆ですらある。
だが強いて言えば其の達成された合理性の部分が私の求めるものとは少し違うやうな気がした訳だ。
だが戦前の萬年筆に限ればペリカンやモンブランもまた突如として輝き出す。
しかしながら戦前のペリカンやモンブランを探し出すことは容易では無い。
何故ならかの独逸は第一次大戦もまた第二次大戦も戦争に負けて居るからなのだ。
其れでもって國がボロボロとなるまで空襲を受けたりもしおそらくは其の折にほとんどの独逸の戦前物の萬年筆は焼けたのであらう。
其れはまた日本もさうなのであるがでもヤフオクには今でも戦前の凄い日本の萬年筆が出されたりもするのだ。
其れはおそらく空襲の無かった田舎の名士などが持って居たものが少しずつ出て来て居るのではないか。
然し東京も大阪も名古屋も皆空襲にやられたのであるからおそらく都會にあった良い萬年筆は其の時に皆燃えたのである。
然し独逸の場合はより徹底的に戦前の萬年筆が焼かれたとさう見て置くべきなのだらう。
其の独逸の戦前物と云う分野が憧れではあったのだが、
1.半端では無く高価となり易いこと
との理由で結局私には手が出せない分野となった訳だ。
廿年程前だったかヤフオクでもってそんな超高級なモンブランの戦前の萬年筆を専門に出品されて居る方が居られ其れをいつも指を咥えつつ視て居たものだったが今思えば其れも懐かしい出来事だった。
独逸の戦前物などを蒐集するとなれば無論のこと其れはコレクターの中でも言わば一握りの特権層としての趣味なのだらう。
だが私は其の種の権威には何故か縁が無く代わりにL.E.Watermanと云う萬年筆にとっての最も原初的な価値に対しのめり込んで行くこととなる。
まさに其れが今から拾年程前のことだったのである。
いやー、万年筆に於ける壱種ややこしいお話をどうも有難うございます。
ですが其れと其のツイストとは一体どーいう関係があるのでせうか?
いやだからさうした万年筆に於ける深き趣味、まさにdeepな探究の世界を我もまた通過して来たと云うことこそが述べたいのだ。
即ちそんな世界を経験した上でツイストー独逸の子供向けの廉価万年筆ーを得ることと其処をまるで知らずに只ペリカンだと思い其れを購うことととの間には大きく隔たりがあるのだからこそ。
でも店員さんはまさかそんなことは知らぬ筈ですよね。
さうまるで分かって居ない。
第一我が色違いで弐本とも見せよと言うと「同じ物ですが…。」などと言いやがった。
だが其の子が美人なので其れも許す。
不細工な場合は決して許しはせなんだのだが。
言うまでも無く其れ等は同じものなのでは無くつまりは首と胴の色合いの組み合わせが違うので其の弐本は別物である。
さうか、コレから時折其の文具売り場へ通い其の子を一人前の店員に育て上げるべく是非教育せねばなるまい。
何もアンタから筆記具の世界を學ぼうなどとは誰も考えては居りませんが…。
馬鹿者!!
アノ名古屋丸善の兄ちゃんはな、此の参月に数年振りにふらりと我が店舗を訪れたところ、「どうもお久し振りです。また何か書かれましたら是非教えて下さい。」と事實さう言って居たのだぞ。
其の万年筆売り場の兄ちゃんこそが偉い子ではないか。
尤も万年筆売り場へ廿年位は通って居たから顔を覚えられるのはむしろ当然のことなのだがな。
君等若い者はさうして先哲から是非學ばねばならぬ。
其れを只のオッサンだと思い込みさうして小馬鹿にして居るともうとんでも無いことになるのだぞよ。
で、其のツイストの横に変なボールペンが売られて居たのです。
ズバリ其れは新発売されたサクラクレパスのボールペンでした。サクラ ボールサイン iD
かのサクラクレパスがボールペンをつくり売って居ることを知らぬ人も居ることかとは思うのだが實は其れがかうして売られて居るのである。
「何となく変だ」
と云うのが此の新製品としてのボールペンに対する私の第壱印象である。
さても一体何処が変なのだらう?
まず軸色が地味な灰色でもって変だ。
さうして何やら細かくしかもややこしいインクの話などが其処に語られて居る。
然し其の黑インクでもって六色あると云うのは一体全体何のことなのだ?
其れも我我愛好家でも??と思うやうな微妙な拘りを其処に語って居り其処からも一体全体サクラとはどんなメーカーなのだ?とも思わせられるのだが良く考えてみれば其れは元々画材屋なのだ。
要するに小中学校等へクレパスだのクーピーペンシルだのを納めて居る會社なのだらう。
だから元々メジャーな筆記具屋では無い訳だ。
ところが、今年の参月に我は此のサクラクレパスのとあるボールペンに惚れ込んで仕舞い其れを丸善にて参本も求めて来たところだった。
で、其の折にサクラクレパスの大阪本社へも問い合わせてみた。
すると姉ちゃんが出たので、「クラフトラボ5」は名古屋の何処で売って居るのかまずは其れを聞いてみたのだった。
「丸善にはあります。」
「いやあー、オタクのクラフトラボ5、實はコレに見惚れて仕舞い今どうしても参本は欲しいのだが。」
「此のデザインはまさにボールペンとしての理想の意匠だ。ちなみに私はネット上で長年に亘り文具ライターをやって居た者だが…。」
「其れはどうも有難う御座います、兎に角クラフトラボ5は丸善にはあります。」
さて、其の丸善とはひょっとして東区にあるサクラクレパスの取次店である文房具屋のことではないのか。
なまじ文具のことが分かった私は其処まで気を回して其の丸善と云う文具屋に電話で問い合わせてみたのである。
「ボールペンも無いでは無いですが其のクラフトラボ5と云うものはありません。」
「でも取り寄せは可能でせう?」
「可能でせうがどうたらかうたら…。」
此れはイカン、此の店はそもペンを売る気が無い。
仕舞った!そも其の丸善とは要するに榮の丸善のことだったのではなかったか!
結局丸善名古屋支店にはしかと其れが置いてあったのである。
で、自転車でもって丸善まで参拾分もかかり行くと何と丸善の前の歩道に自転車専用駐車場が整備されて居り要するに自転車でもって丸善へと乗り付けることが可能となって居たのだ。-コロナ対策にて名古屋市が其のやうに整備をして居た-
だからむしろ此れ迄で壱番樂に丸善へ行くことが出来たのだった。
「クラフトラボ5」を参本も買い込みおまけに別売りのクリップも参個を求め帰りに万年筆売り場を覘くとかの兄ちゃんがしかと居るではないか。
「どうもお久し振りです。また何か書かれましたら是非教えて下さい。」
「どうもお久し振りです。コロナで万年筆が売れずで売り上げの方はボロボロですか?」
「巣ごもり需要がありさうでも無いのですが結局良くはありません。また是非お越し下さい。」
其のやうな経緯があり我はようやく其の焦がれ続けたボールペンを手にすることが出来た。SAKURA craft_lab 005 | 株式会社サクラクレパス
だが此のゲルインクボールペンは如何にも値段が高い。
だがこんなものを一体誰が買うのだ?
しかも別売りのクリップだけで330円もして居るぞ。
ですが此のボールペンこそがまさに美しい筆記具としての作品なのだ。
さうまるでピニンファリーナによるデザインの如くに其れは美しい。
おまけにサクラの意匠が天冠部を其の侭に形成して居る。
さても何て自己主張の強い作品なのだ。
丸善に取り置きを頼んで居たのは黑と朱と緑であったが實物を見て是非欲しくなったのは緑と靑と灰であった。
例のサクラ色の軸も勿論あったのだが兎に角パステルカラーの此の参色が是非欲しくなったのだった。
現在使って居るのは其のうちの壱本である緑である。
其れにJSの小振りの緑の芯を組み込み使って居る。
オリジナルのゲルインクレフィルは書き味が宜しくは無い。
つまり此のペンは其の美しい軸の意匠を愛でる為のものなのだ。
軸は精度が高く出て居り素晴らしい出来ながら若干重い。
だが個人的に世界壱美しい日本のボールペンなのだと思って居る。
【新製品】待望の「サクラクラフトラボ 005」、サクラマークを取り入れたレトロなデザイン| (buntobi.com)
【コレ買いました!】手に取って思わずウットリ! 超個性的ボディのボールペン「サクラクラフトラボ 005」
それにつけてもHPにあるやうなサクラクレパスの拘りとは一体全体何なのだらう?
さうしてサクラクレパスとは全くもって不可思議なメーカーなのだ。
元々はペン屋でも無いのに創るペンには思い切り拘りを持ちまさにオンリーワンの世界を醸し出して行くのが得意なメーカーなのだらう。
SAKURA craft_lab 開発者インタビュー | 株式会社サクラクレパス (craypas.com)
其のボールペンの高級志向、個性化を目指すサクラの試みは非常にユニークなものである。
003や004と云ったモデルにも惹かれるが如何せん其れ等は値段が高い。
ところが皮肉なことにコロナ禍にて世の中の価値観が大きく変わりつつある。
むしろ今流行って居るのは百円ショップの方である。
但し金持ちは金融資本主義にてより金持ちにもなりつつある。
だが多くの人々は今明らかに金が無い。
此のペンは或はさうした背景から生まれたものだったのかもしれない。
所詮税込み178円で買えるペンである。
なのだが何処か拘りを感じさせて呉れるペンなのだ。
故にチープなのだがチープなだけでは終わらぬペンなのだ。
SAKURA craft_lab(サクラクラフトラボ) | 株式会社サクラクレパス
かうして画材を作るメーカーだからこそそんな微妙なインクの色にまで拘る。
新発売のボールサインでまず私はナイトブラックー藍黑ーと云うインクの色を選んだのだがほとんど其れは普通の黑でありブルーブラックの色味が出て居る訳では無い。
但しフォレストブラックと云う緑黑の黑インクの色にはスッカリしてやられて仕舞う。
即ちそちらの方は緑味が強く黑なのだが黑では無いと云うまさに不可思議な色合いを實現して居るではないか。
よって此のフォレストブラックのボールサインを今は好んで使って居る。
また其の軸は変わった面取り軸である。
ゲルインクのレフィルは大きなものが入って居り「クラフトラボ005」のタイプとは異なる。
ひとつだけハッキリして居るのは特に「クラフトラボ005」を使用する場合にはまさにオンリーワンの世界に属する筆記具を手にして居るやうにいつも思うことだ。
まさしく其れは此のペンが無難に纏められたものでは無く確りとしたコンセプトの下に創造された筆記具としての作品であると云うことを指し示して居る。
かのOHTOにせよ、またかのサクラクレパスにせよほんに目一杯にやって呉れて居るので我の如き唯我独尊での筆記具世界を貫く愛好者でも妙に納得させられるつまりは結果的に妙に惹かれ且つ何本も纏めてペンを買って仕舞うと云うこととなるのである。
つまるところは筆記具に於いても今や個性的であることこそが求められて居ることだらう。
なんとなれば筆記具、其れもボールペンだのシャープペンシルだのは今や何処にでも腐る程にあるからなのだ。
腐る程にある何かに対し人間が価値を見出すことなどは元々出来ぬ相談なのだからこそ。
クラフトラボにせよまたボールサインにせよサクラクレパスは独特な拘りを見せるメーカーなのであり謂わば癖は強いが我我ユーザーにとり妙に魅力的な筆記具を生み出し続けて居る。
また其れ等を使うにつれ其の如何にも個性的な本質が顕わになっても来る訳だ。