尚今回は文明滅亡の話では無くコレクターとしての息抜きの話をさせて頂きたひ。
さて、かの中國から、お待ちかねの万年筆がようやく届きました。
其れが何と一月三十日に落とした奴です。
1PC Long Stock Rare Vintage CHINA HUASHI 90 Fountain Pens Oversize Pen Have Box
要するにコレと同じものです。
尚わたくしの場合は万年筆のコレクター歴が35年程です。
愛好歴は47年程。
兎に角長年に亘りやって居り、かっては関東や関西のコレクターさん方とも交流をして居りました。
と云ふよりも全国発信をする某有名万年筆掲示板にて万年筆ライターをやって居た訳です。
尤も其処は藝術や本の内容のことを語る場でもありました。
わたくしは妻子が無ひ分藝術や學問、さうして万年筆や石のことに詳しひ訳です。
なのですが、専門的に知識があるのは矢張り万年筆の方なのだ。
たとへば銀座の有名店の御主人とも長く懇意にさせて頂ひて居りました。EURO BOXーかうしてユーロボックスも四月末まで閉店して居るやうだ。さうか寂しひものだな。ー
であるが故にいまだ万年筆蒐集が趣味なのです。
で、万年筆なのですが今後万年筆業界が大打撃を受ける虞もまた高くありませう。
まずは其れも今までのやうに次から次へと新製品を出せなくなることでせう。
或は万年筆其れ自体が消滅して行く虞さへもがあらう。
尚わたくしは万年筆に対しては結果的に辛口批評をなし要するに戦後の万年筆に対して懐疑的になって行かざるを得なかった。
つまりは戦後の大量生産品としての万年筆の本質的に作りが悪ひところを包み隠さず述べ最終的に「万年筆とは過去のものである」との結論に達しました。
事實として万年筆に深入りすればする程に古ひ萬年筆を求めて行くやうになるものなのです。
其の時代の差による作りの差が所謂ヒエラルキーとして設定されしモデルの位置付けや価格による評価を屡覆したりもする。
たとへば昔の廉価品の方が現代の高級とされる万年筆の価値を明らかに上回って居たりもまたする訳だ。
まあさうしたことは腕時計やカメラなどの領域でも屡生じて居ることなのやもしれません。
要するに現代のモノは合理化された分味わひに欠け作りの方も實は宜しくは無ひ。
尤も見た目だけはピカピカとして實に綺麗なのですけれども。
昔はかの丸善の万年筆売り場の主任さんー名古屋店のーとも付き合いがあり、其の方にコレクションをお見せしたこともあった。
また百貨店ー90年代当時の丸栄百貨店ーにてわたくしのコレクションを展示したことさへもがあった。
其の折にラジオに出演して呉れませんか?などとも言はれましたがわたくしは声が森 進一系か又は徳永 英明系なので普通に喋ると声が通らぬのです。
ところが歌を歌はせるとキーが高くて上手ひ。
實は👩の持ち歌をバンバンに歌ったりも致します。
テレサ・テンのテレサ・テン-别れの予感とか藤 圭子の圭子の夢は夜ひらく/藤圭子とか兎に角何でもイケますね。
最近のものだと宇多田ヒカル宇多田ヒカル - Can You Keep A Secret? だの倉木麻衣倉木麻衣 - 渡月橋 ~君想ふ~なども何とか行ける。
尤も還暦の爺でかうしたのが歌へる奴を他に誰も知りません。
實は所謂カストラートのやうに裏声で歌へるのでソプラノまでは行かずとも其れに近ひ領域の声が出る訳だ。
あ、其れからX JAPANのTOSHIの音域なども比較的楽にコピー出来ます。X Japan - Forever Love
逆に音域が低ひ渋ひ男の唄のやうなのがまるで歌へなひ。たとへば「無法松の一生」だとか。無法松の一生(度胸千両) 村田英雄
ところが若ひ頃はまだ良かったのですが最近頭の天辺が薄くなりしかも腹も出ましたので恰好悪くてソプラノに近ひ声なんぞとても出しては居れません。
と云ふか不気味です。其んなオヤジがもし女の持ち歌を歌ったりしたら。
尤も十年程前までは独りカラオケにて良く練習して居たものでした。ー其れも一回で四、五時間程は歌ふー
わたくしは藝術の分野では常に人とは違ふので兎に角歌ふこと其のものにトコトン没入して仕舞ふ。
其れから日本の唱歌なども屡歌ひます。
またアヴェ・マリアなども。Ave Maria - André Rieu & Mirusia
但しソプラノまで音域を上げるのは流石にきつひ。
音を下げれば近ひところまでは行きますが所詮わたくしは👩では無ひので。
でも普通のオヤジじゃ無ひですよ、つまりは藝術家なのか?
尚昔からの十八番がもののけ姫です。
但しプロの米良氏程曲の細部の処理が上手くは出来ずで、でも皆様聞かれた途端にきっと驚くことかと思はれます。
ちなみに「もののけ姫」独唱に対する三歳下の弟の以前の感想は「何か似てる」でした。
尚歌が上手ひ人は決まってキーが高ひのです。
キーが低くなひと歌へぬのは其れは凡人と云ふことです。
話がつひ大幅に飛んで仕舞ひました。
要するにわたくしは音楽や絵画が大好き♡なのです。
が、其れと共に理窟を駆使して何かを批判することもまた實は好き♡なのだった。
其の万年筆ですが、わたくしの域ともなるとまさに直感が働きオークションの画像を見て居るだけで其れがイケてるものか又はさうでは無ひものなのかと云ふ判別がしかと出来ます。
で、一月末の時点で此の中國の古ひ万年筆がどうもイケてるやうに思へてならなかった。
尚、わたくしは最近もはやほとんど万年筆を買ったりはして居なひ。
逆にコレクション整理の方を、其れも十年前に一度は其れをやったので二度目のー最後のーコレクション整理をやり戦後の限定万年筆などはほとんど売って仕舞ひたくも思って居る。
ところがいざこうなるともはやまともな値では売れぬのかもしれません。
と言ひつつもeBayオークションの落札履歴を見るとちょこちょこと安ひ万年筆を買っても居りました。
さうなのです、實は弐、参千円で買へる安万年筆のコレクターといつの間にかなって仕舞って居たのだった。
昔は其れが酷ひ時は弐拾萬、参拾萬であり或は安物でも弐萬、参萬、だったのですがかうして桁がまるで違って限定されるに至ったのだ。
ところが、です。
ところが其れが至極楽しひのであります。
何故なら兎に角値段が限定されてるので大した負担にはならぬ訳です。
昔は給料を全部つぎ込んでやっても居りましたがー何せ妻子が居なひのでー、今は壱箇月で弐千円の予算で済む。
實は安くて良ひモノも常に世界には溢れて居るんです。
安からう、悪からう、と云ふのは其れは昔の話で今や色々と選択が可能なのだ。
ですが、今回の此の品はあくまで中國の古めの万年筆です。
然し其れはウヒルス付きの小包かもしれませぬ。
其処で手袋とマスクを着用し其の小包を慎重に開けます。
要するに二カ月半もかけて中國よりようやく届きし万年筆だ。
然し今一体誰が中國から何かをかうして個人輸入して居ると云ふのだらう?
そんな奴は日本人ではもしやわたくし独りなのではなからうか。
うはーデカひな、コレ。
つまり其れは凄ひ奴でした。
比較的中國の万年筆には詳しひわたくしですが此れは勿論これまでに見たことも聞ひたことも無ひ。
問題は其の値段の安さです。四本でもって参千円弱だ。
が、さうかと言って役立たぬペンでは無ひ。
むしろ素晴らしひ出来のペンなのだ。
第一箱、まずはコレが良ひでせう。
中國らしく布張りの箱で其処に漢字でもってモデル名が書ひてある。
だが其処に致命的な問題が生じて居た!
何と中國人が其処にシールー売り上げシール?ーを何故かべったりと貼り付けて御座る。
其れを上手く剥がさうとしたが上手く剥がせず其の重要な漢字でもって書かれた紙の部分がベロッと全部剝がれて仕舞ふ!
いや、中國人が全部無神経だとは申しません。
然し伊太利亜人と中國人の感覚は日本人や独逸人のやうに細かなものでは無ひこともまた確かなことです。
要するに其のシールは箱の裏面の方に貼って置けばダメージなどまるで生じなひと云ふのに何でまた其れが分からぬのか。
ですが肝心の万年筆の方には至極満足致しました。
勿論其れは金ペン付きでは無く金色のスチールニブ付きです。
ですが全長183ミリもある立派な万年筆なのです。
中國の万年筆のインク吸入は中押し式のシリコンチューブによるものでコレが意外と扱ひ易く且つ信頼性もあり合理的です。
所謂欧米基準でのカートリッジ式よりもインクの出が良くなり其の点でも優れて居ます。
わたくしの場合中國の万年筆は元々好きです。
現在も様々な中國の万年筆を愛用して居ります。
中國の万年筆の良ひところは適切な選択によりかうして安くてしかも素晴らしひペンと巡り遭ふことがあると云ふことだ。
また中國には筆文化があり其れは欧米の硬筆の筆記文化とは本質的に異なるものです。
故に中國の万年筆には日本人による日本語の筆記とも常に近しひ部分がまたある。
ですが實は上級編なのです、中國の万年筆から良ひ物を選ぶのは至難の技でもある。
下手に手を出すと軸全体が真鍮製だったりで重くてまるで使へなひ。
まあ最近の物よりも弐、参拾年程前の物から選択する方がまだしも其処は良ひのやもしれなひ。
但し以下のものは首軸及びペン先の作りの良さに驚かされました。
どうです、安ひでせう?JINHAO ジンハオ X450 万年筆 金属ペン M型中字ペン先0.7mm (青)
でも安くても物は悪くは無ひのです。
悪ひのは其の金属製の軸の重さです。
だから軸を他の物に交換するか自分で木や竹を削り出し作る訳です。
此れも金ペン先付きではありませんが實に良く出来たスチールニブ付きで非常に書き易ひ。
万年筆で一番無難なのは国産の金ペン先付きのものを一万円~二万円程出し日本のオークションにて落とすことでせう。
ですが我我愛好家はよりディープな領域へと必然的に入って行く訳です。
五年程前までは米國や英國からアンティークー百年以上前ーの萬年筆を多く個人輸入しても居たわたくしですが、其れがより深まると何とかうして安ペンの世界へと入って行ったのでした。
ちなみに九十年代は其れとは眞逆に高価な限定万年筆ばかりを蒐集して居ました。
尚安ペンは何も中國の物には限らず印度の物でも幾らでもあります。
一言で申しますと日本や欧米の現行の万年筆は高ひ価格の物が良ひとは言へずむしろ其れは虚の価値ー虚としてのステヒタスーに踊らされて十万も二十万も出して仕舞ふこととなるのです。
さう云ふおバカなペンをウオール街の金融インテリ達がもしや使って居たのだとしたらまさにバカバカしくて見て居られぬではありませんか。
元よりウオール街のインテリとはウソのインテリなのですし、只値段だけ高ひ現行のペンとは矢張りと云ふべきか其れと似たやうなもので所詮はウソのペンなのです。
そんな訳でもって兎に角わたくしの万年筆趣味は一種過激にあちこちへと分野を移動しつつあへて此の時期に中國万年筆を買っちまってる訳だ。
つまりは人が出来なひことをかうしてして仕舞って居る。
其れでもって失敗するかと云ふに逆に成功して来ても居ります。
ま、たとへ失敗するにせよ四本で参千円分を損するだけのことですね。
ところが五年程前ですがわたくしは中國の詐欺サイトに引っ掛かり確か三万円程やられたことがありました。
ところが万年筆で詐欺に引っ掛かったのは其の折のみです。
日本と海外を併せ総取引はおそらく五、六百位はして来た筈ですがトラブルは其れのみ。
此処からも詐欺サイトには兎に角注意致しませう。
さて最後に嫌な話となって仕舞ひ恐縮ですがeBayの上で屡ペンを買って居た印度の万年筆製作者のところと米國の印度の万年筆をも扱ふ万年筆専門店のいずれもが出品を取りやめて居ました。-或は閉店か?-
其れを見た時にわたくしは初めてショックを受けた。
もはやあらゆる分野でかうした遮断または断滅が引き起こされて行くことでせう。
まさにほんたうに其れは悲しひことなのだった。