プライムヴィデオで視聴可能な宗教関連での映画は、結局我にとり一番面白く視られる。
かのキアヌ・リーヴスが悪魔祓ひを生業とする探偵を演じる。
其れにしてもキアヌ・リーヴスはSFだの神だの佛だのが出て来る映画には何故かまさに適役だ。
かってキアヌ・リーヴスは子を亡くして居り、其のせいか其の種の世界とは何故か相性が宜しいやうで。
悪魔祓ひとは云へSF的な文字通りの悪魔祓ひなので現実的に怖ひと云ふ訳では無くよってキリスト教をテーマとした活劇として楽しめる。
ところで悪魔と云ふ現象は善と悪との二元的対立の世界観を持つキリスト教ではむしろどうしても居なければならぬ存在なのだ。
元々人間は善悪二面の心を持ち場合により悪にもなりまた善にもなるのが人の心だと云ふことだ。
人間であること自体がそんな罪深さから逃れられぬものなのでもしも悪に深く蝕まれし世界であるのならば其の悪魔による支配より脱し神の価値観の方へと認識をシフトして行かざるを得ぬ。
少し我が気になるところは、カラスだの、ヘビだの黒猫だのがどうもキリスト教では悪魔の使ひと考へられて居るやうで、カラスの場合には確かに実に根性が悪く真っ黒けで躰もデカく実に薄気味悪ひ。
が、ヘビは可愛いひのだし黒猫などは其の毛並みがもう素敵に綺麗である。
実際中世の頃よりヨーロッパで黒猫ばかりが虐殺されて来たようであるが其れでは如何にも可哀想だ。
其れに此処日本国ではカラスやヘビは神の使者でもまたある。
そんな風に文明により善悪の規定も逆転しやうからむしろ其の位に考へておくべきものなのだ。
大天使ガブリエルーむしろ悪者と云ふ設定でーや悪魔ルシファーー恐くはない悪魔と云ふ設定でーなども出て来るから日頃キリスト教には縁の無ひ日本人もそこそこに楽しめるものとなって居る。
ちなみにわたくしはキアヌ・リーヴスのファンなので他にもSFだの神仏モノだのがもしあれば是非また視てみたひところだ。
すると最近の映画の『レプリカズ 2018』で科学者を演じて居たそうで、其れもまた実に面白そうなクローン再生の話なのだがあいにくまだDVD化されて居らずプライムヴィデオの方でも見られぬ。キアヌ・リーヴスの場合には
『地球が静止する日2008』と云ふSF映画があり、 此れは1951年公開の『地球の静止する日1951』のリメイク作品だ。
SF映画作品には多くのリメイク作品があり、わたくしの場合は其の新旧のDVDを共に購入し其の都度比較しつつ視たりして来て居る。
特に古典的な名作とされるSF映画である『タイムマシン』や『地底探検』それに『宇宙戦争』にはそれぞれ新旧版がありいずれもDVD化されているゆえそれぞれの良さを楽しみつつ視聴することが可能だ。
「本作は、カトリック信仰が始まって以来、悪魔の憑依事件を年代順に記録した大量の文章が格納されているバチカンの秘密文書保管所に格納された文章から着想したホラー・スリラー。”悪魔の憑依”という古典ホラーのコンセプトに、キリスト・人類の究極の敵の出現を緊張感溢れる映像で表現する。」『バチカン・テープ』予告編、 実際の悪魔憑依事件を記録した大量の文章から着想したホラー・スリラー2016より引用
ーただし現在視聴不可ー「バチカンテープ」のネタバレあらすじと結末
とのことなので確かに存外怖ひ映画である。
が、結局悪魔祓ひに失敗し男性が三人も殺されて仕舞ふ。
生き残ったのは牧師一人で、此の牧師はバチカンへ赴き悪魔が反キリストとなり世界を支配し始めた旨を述べる。
そんな訳で結末としても怖ひ映画なのだ。
反キリストとはキリストをキリストとして認めぬ者のことで其の悪魔がまるでキリストのやうに振る舞ふともされて居るものらしい。
かうしておそらくは終末期にさしかかるとさうした悪魔の行動が見られるやうになるのであらう。
ただしキリスト教の終末観は悪を滅ぼした後に善者だけを選別して神の王国へと霊的に再生を計るのであらうから其処には未来が保障されて居ることとなる。
が、仏教の末法思想は仏法自体の衰弱及び邪悪な心理状態の蔓延を其処に示さうものだからまさに最悪であり何処にも救ひは無ひ。
要するに悪魔が乗り移った女性が助かるどころか反キリストとなり今後の世界の救世主となることだらうニセキリストの過程が始まるところで映画は終る。
続編が待たれるところながら、おそらく続編は神と悪魔、またバチカン対反キリストと云ふ構図となり此の映画とは異なりよりSF的なものとなることだらうが出来れば其れも是非視てみたひものだ。