目覚めよ!

文明批判と美と心の探求と

目覚めよ!での恐怖の課題図書六冊


さて今や米中の相互依存関係が築かれつつあるように思われますが其れは一種イデオロギーを超えた同盟関係であるようにも見える。

が、良く良く見るに其れは近代全体主義というもっともっと大きな
イデオロギーに貫かれし相互依存関係であるに過ぎない。


経済や、或は覇権主義つまりはヘゲモニーの獲得、といった同様の目的が存するからこその依存であり協調なのである。


ところが今この世界には格差による社会全体の危機の問題が忍び寄って来て居る。


今後この格差の拡大により様々なものが破壊されるか或は再生不可能な状態に追い込まれていくことだろう。



では何故
「格差」があってはいけないのだろうか。

はからずも先に述べた大国の依存関係のように
同種の目的を提げて進むグローバルな社会に於いては其の問題に苦しめられることになるのである。

体制は違っても、共に悩んで居るのはまさに其の格差の問題なのである。


だから近代とは、近代全体主義とはそうした越境された問題を生み出す原動力のようなものなのだ。

其れがこと経済に於いては其の格差を、こと環境に於いては其の破壊を、こと精神に於いてはある種の洗脳を、其の他諸の価値に対しては非本質化を齎していく。



つまりは資本主義国だろうと共産主義国だろうと他の如何なる体制の国であろうと、其のいずれもが経済的な欲望の追求、或は其の欲の追求から生じるだろう諸の意味での自然の破壊ということに対しては全く同様の立場での行いを全うして居るというだけのことだ。

其処ではイデオロギーは違っても実は国家として価値観が全く一緒だということである。


そうした様をわたくしは近代全体主義と呼んで居る訳だ。


近代全体主義は先にも述べた如くに花火大会が大好きである。


丁度これからは其の花火大会には最高の時期を迎えつつある。


だからただ黙ってこの花火をば鑑賞して居たい。


もう俺は全部見切って仕舞って居るにせよだ、其の方が兎に角キレイだし第一このカラダが欲しがるので仕方がないんだ。


だからそういうのこそが無明ということでしょうが。

まさに煩悩に煩わされて居る状態でしょうが。


が、現代的な価値観はすでに内省力を失う一歩手前のところまで来て仕舞って居る。

だからもはや自らを省みた上で歩むべき道がみつからない。

のみならず来し方を振り返り過去から学び取ることすら能わずだ。


其の内省力を如何にして回復すべきであるか。






さて現代社会の抱える問題とは何か、其の本質とは如何なるものであるか。


たとえば生老病死のうちの何が問題として捉えられ得るのだろうか。


其処ではとりあえずは病だということになろうかと思う。


何故なら自然に与えられし老死の部分は如何ともし難いことなのだろうし、またもっと根本の問題としての生ということはおそらくは無明から生じて来て居るのでしょうが、さて残った病ということについては色々と方策が取れ、尚且つ処方箋が出せるものであるようにも思われる。


其れで現代の文明世界が今病に罹って居るのであれば、これはもうお医者様にでもかかって早く治して貰う以外に手はない。

または薬でもってして治していくほかはない。


だから其れはあくまで現代を貫くであろう問題に対する処方箋である。

其の意味では生も老死も問題であるとは捉えられないのである。




だから現代社会の抱える問題とは今現実に其れが抱えるだろう病理の問題である。



でも人間が人間であること、などは其の事と同様に問題であるとは捉えられないのである。


なぜなら元々人間は人間でしかあり得ないのであろうから。


然し人間の自己本位性は明らかに其れは問題ー病理ーである。


ところが近代全体主義はこの自己本位性を逆に高めていくことだろう思考を担って居る。


よってまずは其の思考をばストップするほかはない。


近代の齎した全体主義的な傾向、其のグローバルな国家間での諸の展開を止めて仕舞うほかはない。


其処での自己本位性を脱却し新たな脱近代の社会の枠組みを創り上げるほかはない。


だから其れはイデオロギーの問題でもなければ国家レヴェル、ましてや民族の問題などではないのだ。


もはや最大限に拡張されし現代の国際社会の思想は、まさに其の近代全体主義を忠実に履行しそして近いうちににっちもさっちもいかなくなりやがては自分で勝手に崩れていくことだろう。


そうした問題の拡張がこの近代に於いて成し遂げられて仕舞ったのである。


近代とはそうした大問題のさらなる大問題化を成し遂げた世紀だったのである。

大問題×大問題、つまりは大問題の二乗化ということをして来て仕舞って居たのだ。





其処に於けるひとつのカギは、まさに精神の世界のことである。

この唯物論が描くところでの人類にとっての幸福という幻想を打ち砕く唯一の道標とは観念論の世界であり精神の世界のことでしかありえない。


ゆえに今後は体制的、政治的にもそうした観念性のある考え、精神性のあるポリシーが大切になるということでもある。


もっとも大問題ということは、これはもう本当に切り込んでいくのが難しい領域である。


この私などももう少し現状維持派だったら勿論こんなことは言っていなかった筈なのである。


だが結局そうではなくわたくしは真理、真実を見つめていかざるを得ない社会派ー社会科ー詩人だったのである。


だからこそ常にこうしたことを考えて来て居る。





尚、近年様々な切り口で現代社会の抱える問題を論じた書籍が出版されて来て居る。


現代人が本を読まなくなった割には鋭い切り口でもって現代の文明を批判する本があれこれと出されて来て居るのである。


例の『二十一世紀の資本』を筆頭に、『資本主義の終焉と歴史の危機』、『近代の呪い』、『没落する文明』、『滅亡へのカウントダウン』、『異常気象と人類の選択』といったものが挙げられる。

そしてこれらは全部怖い本である。


『二十一世紀の資本』
http://www.amazon.co.jp/21%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E8%B3%87%E6%9C%AC-%E3%83%88%E3%83%9E%E3%83%BB%E3%83%94%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3/dp/4622078767




何が怖いって、兎に角皆人類にとっての怪談に類するような本ばかりなのだ。

丁度夏でもあり怪談が読みたくなって来たので実は私も今再読して居るところなのだ。


特に怖いのは『滅亡へのカウントダウン』でしたが、これは今すぐに人類が滅ぶとかそういう類の本ではないのですが事実を調べ上げた上で説得力をもってして2050年辺りからの世界に於ける阿鼻叫喚の地獄の様を描き出して居る本だからこれはもう真の意味で怖かった。

http://www.amazon.co.jp/%E6%BB%85%E4%BA%A1%E3%81%B8%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%80%E3%82%A6%E3%83%B3-%E4%B8%8A-%E4%BA%BA%E5%8F%A3%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%99%BA%E3%81%A8%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%82%8F%E3%82%8C%E3%81%AE%E6%9C%AA%E6%9D%A5-%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%B3-%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%82%BA%E3%83%9E%E3%83%B3/dp/4152094257


もっと怖いのは格差によって資本主義自体が滅ぶということを論じた『資本主義の終焉と歴史の危機』というベストセラー本である。

皆様はきっと物凄くお勉強されて居ることかとは思われ、其れでこんな本位はもうとっくに読まれて居ることかとは思いますが一応ここでの怪談書の一冊としてここに紹介させて頂きます。


従ってここでの夏休みの課題図書は以上の本となります。

嗚呼、そういえば丁度今職場の後輩にこの『資本主義の終焉と歴史の危機』を貸出して居り、それで是非読書感想文を書いて来るようにと言ってあるところでのものです。

http://www.amazon.co.jp/%E8%B3%87%E6%9C%AC%E4%B8%BB%E7%BE%A9%E3%81%AE%E7%B5%82%E7%84%89%E3%81%A8%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%81%AE%E5%8D%B1%E6%A9%9F-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B0%B4%E9%87%8E-%E5%92%8C%E5%A4%AB/dp/4087207323



『近代の呪い』は例の渡辺 京二先生が書かれたもので非常に分かり易く全体に私の考えにも近く面白かった。勿論相当に左の考えではありましょうが。
http://www.amazon.co.jp/%E8%BF%91%E4%BB%A3%E3%81%AE%E5%91%AA%E3%81%84-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E4%BA%AC%E4%BA%8C/dp/4582857000


『異常気象と人類の選択』
http://www.amazon.co.jp/%E7%95%B0%E5%B8%B8%E6%B0%97%E8%B1%A1%E3%81%A8%E4%BA%BA%E9%A1%9E%E3%81%AE%E9%81%B8%E6%8A%9E-%E8%A7%92%E5%B7%9DSSC%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B1%9F%E5%AE%88-%E6%AD%A3%E5%A4%9A-ebook/dp/B00GZK2I9A


この『異常気象と人類の選択』が、実は一番怖い。何故ならもはやもうどうしようもないことをどうにかしていかなければならないという意味に於いて絶望的に怖いからなのであります。


資本主義が滅びたりグローバリズムが無くなったりすることは今後十分に有り得るのだし可能性は低いにせよ人口を何とか抑えたりすることなどは絶対に出来ない訳でもないのでしょう。

でも近代以降地球の気象をぶっ壊して来たことだけはもはや如何ともし難くおそらくはすでに手遅れのことなのでしょう。


でも其の手遅れであるという認識を持つことからまず我々は歩みを進めていかなければならないのでしょう。