暴走する文明 (字幕版)
ー人類の進歩は、多くの場合、進歩の速度で図られる。しかし、実は、進歩が下方へ、つまり崩壊へと向かって旋回していっているとしたら?ロナルド・ライトは、彼のベストセラー「A Short History Of Progress inspired SURVIVING PROGRESS」の中で、「プログレスの罠」、すなわち目先の必要のためになるが、将来を犠牲にする誘惑的な技術や考えにより、過去の文明がどのように破壊されたかを示す。世界の資源難が加速し、金融界が破綻すると、世界中で複雑に絡み合っている文明は、最終的に、破局の「プログレスの罠」から逃れることはできるのだろうか?遺伝子、頭脳、そして社会的行動を模索してきた思想家たちの強い想像力や啓蒙的な洞察で、このレクイエムは、常のごとく進むが、その一方で「類人猿を賢いと言うことは、進化の袋小路ではない、ことを証明する」という課題を提起する。ー
まずは進歩には良ひ進歩と悪ひ進歩があるそうである。
何故なら其の進歩すること自体が諸刃の剣であり必然として其のやうな弐元性へと陥らざるを得ぬことだらう。
良ひ進歩と悪ひ進歩にもまたそれぞれに二元分裂があるのやもしれずいざさうなると組み合わせによっては良し悪しの判定などもなかなか区別がつきにくくもならう。
とりあへず此れ以上進歩することは不必要だとさう時間軸の中で捉へ謂はば昔の進歩はまだしも良かった、とする捉へ方をわたくしの場合はしていかうかとそうも思ふのだ。
逆に進歩しなければさうした弐元性は生じず同じやうなことを其処で繰り返すばかりだ。
さうして繰り返すのが悪ひと云ふ訳では無く事実として進化の場合は長ひ時の流れに応じて行はれやうから其れは良く気を付けて見ておかねば其の変化其れ自体が分からぬ程だ。
其の進化は自然現象によるものなので其れ自体を否定する意味には欠けて居やう。
勿論神が進化させて居ると考へても良ひのだがいずれにせよ其の自然界の変化は事実として起こって居る。
佛教では其れを諸行無常として捉へるのだがより正確には其れは諸行非常であらう。
諸行が非常なのであれば諸行は縁起により規定されて居る筈なので其れは人間の欲望や意志を離れた部分での歴史過程と必然的になり一瞬たりとも其れを定常的には規定し得ぬことともならう。
其の変化するところにより何処とも知れぬ未来へ進んでいくことを普通人間の理性は嫌がらう。
然し未来を案ずることの無ひ自然の場合はそんなことはむしろお構ひ無しだ。
人間は理性と云ふ分析性ー分離性ーを抱へることで過去、現在、未来と云ふ相対分別を為しつまりは過去から學び己が行く末を案じてみたりもする。
其処まで分かたれて居なひ自然はよってもっと神々の近くに住んで居やう。
人間にとり大事なこととは其の理性的現實でありあくまで其れは抽象的に規定される価値観故自然にとってはむしろ無価値なものばかりなのだ。
と申しますか、そもさうした進歩の概念其れ自体が自然界には存して居なひ。
自然は只自然界の摂理に従ひ進化と云ふ変化を続けて来て居るばかりでのこと。
ところが人間だけが其の抽象的に規定される進歩の概念を発明した。
さうして進歩は進化よりも桁違いに其の変化が早ひのだ。
さても其の速度からしても進歩とは恐るべき脱自然での概念なのだ。
其れは人間の相対分別から生じるところでの自然に於ける変化を超越する変化のことだ。
其の人間の脳内願望=抽象的欲望を成就させるに足る土壌又は環境を自ら創り出していくと云ふことである。
つまり近代以降文明は其の脳内願望を具体化していったのだった。
人間の歴史とは社会の歴史であり其の社会の歴史こそが人間の脳内願望の具象化の歴史である。
つまるところ我我はもはやとうの昔に自然からは離れ抽象領域へと飛翔して仕舞って居る。
だからこそ我我は此処弐百年余りを空を飛び地を猛スピードにて突っ走り宇宙へも進出するやうにさへなったのだった。
だがそも其処で一体何をそんなに急ひで居るのだらう。
人間は其処で別に宇宙人に侵略されて居る訳でも無く地底人に脅かされて居る訳なのでも無ひ。
なのに一体何をそんなに急ひで居るのだらうか。
尚コレは幼稚園児でも分かる命題なのではなからうか。
ほんたうに文明は一体何をそんなに急ひで居るのだらう。
第一行為にかかる時間をドンドン短縮していきますね。
で、短縮して其れで果たして何になるの?
つまりは其れが合理化ですね。
でも合理化してもどうせ諸行は非常なので合理化による楽園など何処にも築けやしません。
第一世界の価値観をグローバル化し地球は狭ひだの何だのと兎に角等質化されし価値観の元に想定されし同種の楽園を築かうとして居ます。
で、其れでもって一体何になるの?
つまりは其れが合理化ですね。
でも合理化してもどうせ諸行は非常なので合理化による楽園など本質的には何処にも築けやしません。
究極的には文明の構造は支配層にとり最も搾取のし易ひ形態へと変化して行きませう。
其の支配層の抽象的願望が搾取を極限まで合理化しどう転んでも自分達だけは生き残れるやうな大金を得ることへと結局収斂されていきませう。
でも其の支配層こそは悪魔に心を売り渡した地球の破壊者共のことです。
其の支配層の心の持ち様こそが人類ばかりか惑星地球にとっての最大の敵ー社会的敵ーなのでせう。
で、其れでもって一体何になるの?
つまりは私腹を肥やして恒常的に存在するやうに画策して居る訳ですが人間は神では無ひのでそんな努力も皆徒労に終わりませう。
昔から文明の支配者は不老不死を願ひ世界中で仙薬を求めたりも致しましたが其れでもって不老不死になった奴など一人も居りませぬ。
人間はさうして自ずと限定されて居り無駄なあがきと申しますか余計な欲望と申しますかさうしたものは皆下品な精神の働きである故智者は逆にもっともっと限定して行きそんな無駄なことには此の貴重な時間を使ったりは金輪際しなひものです。
要するに其れは頭と申しますか心の出来がそも悪ひことから生じて参ります一種の妄想に過ぎぬのです。
現代の資本主義に於ける偉ひ人々もまるで其れと同じやうなことで頭と申しますか心の出来がそも悪ひことから生じて参ります一種の妄想に生きて居る人々ばかりなのです。
其れでは聖人は何を考へて居りますかと申しますとまずは👩の裸のことなどはちらりとも思ったりはして居りませぬ。
逆に其の性欲を如何に抑制するかと云ふ其のことばかりを實は考へて居ります。
屡邪教の教祖などが何人も👩を囲ったりもして居るものですがさういふのこそが俗物で真の聖人はまず女を避けて生きることからこそ修行を始めていくものです。
つまりは此の世のことはほとんどが俗な認識の元に営まれるであらう虚の価値の追求であるに過ぎぬ。
作家や詩人は勿論そんなこと位は知って居りますが哀しひ哉彼等は売文にて生計を立てていかねばならぬのです。
だからそんなプロの作家や詩人なんて俗調に浸り切らねばならずわたくしはあへてさうなりたひなどとはまるで思っては居らぬ。
さて進歩して何がそんなに楽しひのですか?
進歩せずともまともな価値観を少しずつ取り戻して行く方がずっと理性的な現状の維持でせう。
過剰な進歩はむしろ全体性を破壊します。
文明とは其の歴史的全体性のことです。
「過剰を生む進歩の罠」があると作家のロナルド・ライト氏は指摘する。
ー『暴走する文明 「進歩の罠」に落ちた人類の行方』を書いた作家のロナルド・ライトが、主なナレーションを担当する。ライトは言う。「知識という21世紀のソフトウェアを、5万年前のハードウェアで動かしているのが問題」と。
確かに、いまの人間は、多くの技術を開発し、クスリを開発し、医療技術も進歩させた。宇宙にロケットを飛ばし、ステーションを作る。原子力も手に入れた。だが、マイナス面もある。霊長類学者のジェーン・グッドールは言う。「人間は、地球の生物で最も知的なのに、唯一の故郷、地球を破壊しようとしている」と。
ライトは、いまの人口増加に触れる。ローマ帝国滅亡から大航海時代までの1300年間で、人口は2億人増えた。今は、3年ほどで2億人、増えている。70億人を超えた現在、この人口増加は無視できない、と。今は、先進国の資源消費が甚だしい。14億人を抱える中国が、欧米並の消費レベルになると、地球資源は完全に不足するそうだ。ーサバイビング・プログレス - 進歩の罠 より
其の進歩の過剰さを生むのは理性では無く人間の原始的闘争本能によるものだ。
わたくしの理論で言へば其れこそが理性の原始退行化と云ふこととなる。
何故なら理性とはむしろ本来ならば抑制するものなのだ。
真の理性とはまさに抑制であり其れは過剰なのでは無ひ。
過剰とは煎じ詰めれば其れは獣性の発揮なのだ。
即ち人間の社会は其の原始時代の域を脱し切れて居なひ。
であるからこそ現代文明は常に危険なのだ。
要するに理性がまともに働ひて居なひので真に理性的な社会がまるでつくれて居ない訳だ。
ジェーン・グッドールは世界的に著名な女性科学者であり常に此れ以上無ひ程の品格に充ちた老齢の科学者でもある。
「人間は、地球の生物で最も知的なのに、唯一の故郷、地球を破壊しようとしている」ーサバイビング・プログレス - 進歩の罠 より
人間は地球上で最も賢ひ存在なのに何故か母なる地球をさうして殺そうとして居る。
其れは尊属殺人であり第一級の罪であらうと云ふのに。
だからほんたうは人間は少しも賢くは無くむしろ大馬鹿者なのだ。
たとへば其の馬鹿さ加減は🐵よりもずっと下だ。
ーライトは、いまの人口増加に触れる。ローマ帝国滅亡から大航海時代までの1300年間で、人口は2億人増えた。今は、3年ほどで2億人、増えている。70億人を超えた現在、この人口増加は無視できない、と。今は、先進国の資源消費が甚だしい。14億人を抱える中国が、欧米並の消費レベルになると、地球資源は完全に不足するそうだ。ーサバイビング・プログレス - 進歩の罠 より
実際に中国人と印度人だけで約二十七億人もの人口を抱へ込んで居ることだらう現在の世界人口七十七億人とはもはやどう考へても異常です。
わたくしが小学生の頃初めて世界人口数を覚へ込んだのが三十六億人でありました。
其処からはや倍増して居ります。
此れはもう人間がウイルス状態になり繁殖して居ると考へても良ひことでせう。
人間とは其れ即ちバイ菌である。
むしろさう結論され得やう。
地球環境が無理なく維持し得る世界人口はおそらく三十億人程度でせう。
ーいろんな人が、経済の成長を願い、実行する。アメリカのブッシュ元大統領も、「経済は成長すると信じている」と演説する。日本の歴代の政治家たちも、そう考えている。はたして、そうだろうか? 遺伝学者のデイビッド・スズキは、経済学と現実社会は、まったく別物と考えている。「生命体があるから水が循環している。微生物がいるから土で食物が育つ。昆虫がいるから花が咲く。地球が健全さを保つには、自然の営みが必要」と言い、さらに「経済学が、こういった自然を無視している」と指摘する。ーサバイビング・プログレス - 進歩の罠 より
其の経済成長至上主義こそは人類の陥りし大きな罠である。
対してイエス・キリストは利益を追求する商売を神の意に沿はぬものとして捉へ怒って市場を破壊して仕舞ったとされて居る。
敵をも愛せとさう宣ふたイエス・キリストが何故そんな暴虐とも言へる行ひをして居たのか。
其の商売での利益追求がやがて地をも滅ぼす欲望に繋がるとさう知って居られたからこそ止めよ!と怒られたのだ。
実際にはそんな實社会での価値観とはそぐわぬ価値観こそが所謂聖なる価値観なのだ。
かうして偉ひ人にはむしろ俗物が多く静かなる目立たぬ人にこそおそらく聖性はしかと発揮されて居る筈だ。
一言で言へば今日の経済学は合理的な利益追求の手先と化しまさに悪魔に心を売り渡したことと同じやうな状況にあらう。
佐伯 啓思先生などは元来経済学者だったのだが其の事実に嫌気がさし思想家の方へと學問の分野を移動されていかれたのだった。
つまり金のドレイでもある経済学は道義的にもはや破綻して居るのだ。
資本主義は其の経済学にて組み立てられし経済体制なので当分の間機能は停止せずとも其の根底の方では道義的に腐り切っていくことであらう。
さうして心が腐り切った学問こそが自然の営みの大切さを無視し我先にと環境を金に換へ母なる地球を壊していくのだ。
ー食料不足、気候変動、エネルギーの枯渇などなど、いま私たちの抱える問題は多い。新しい技術開発で、ある程度、克服することは可能とは思う。が、しかし、そのような技術は、富める者がますます豊かになり、貧しい人たちには、何の恩恵も与えない。遺伝子工学や、いろんな技術が発展しても、ますます格差は拡大するばかり。ーサバイビング・プログレス - 進歩の罠 より
此のやうにもはや何処にも救ひが無ひと云ふ部分こそが世の真実なのだ。
であるからこそもはや宗教による救ひしか事実上は無ひ。
『暴走する文明 「進歩の罠」に落ちた人類の行方』は徹底的に其の事実関係を見詰め良識ある科学者達と作家であるライト氏の意見を交へ書かれたまさに真実を語る書である。
其れは今置かれた我我の立場を直視したものだとすることが出来る。
個人的には現代文明の推進者である欧米圏から此のやうな文明の批判の書が出て居たこと自体がまさに驚きであった。
但し世の中にはかうした文明の真相が語られたものからむしろ将来に対し楽観的なものまで様々な意見もまたあることだらう。
其処から何を選び取り個としての思考の糧に為すかは畢竟其れは個としての自由なのである。
個人的には文明の未来に対してはどんな希望も無ひとは思ふのだがさりとて明日はまたやって来る訳なので文明には絶望しても自分にだけは絶望などしたく無ひ、と云ったアウトサイダー精神にてこれからもやっていくつもりである。