元より文明とは抽象概念の巨大なる集積なので、自然の齎すところでの具象的破壊力に対しては手も足も出ぬ。
其の具象的破壊力をむしろ文明は長きに亘りナメて来て居た。
具象的破壊力は地にも満ち天にも満ち人間界にも實は満ち満ちて居る。
よって抽象的に形成されし文明はまさに其の具象的破壊により機能を停止する他無くなる。
文明は批判によってはつき崩せぬものだが自然によって事実上其の継続力を容易に奪われる。
自然とは唯一人間では無ひ何者かなので其れが可能なのだ。
其処にあるのは只々水の怒り、川の怒り、山の怒り、海の怒り、のみ。
罪深き我我の業を只自然の怒りのみがこんな風に呪って居るよ。