目覚めよ!

文明批判と心の探求と

過去でのさうして現在での愛の形

今アマゾン プライム・ヴィデオで視聴することが可能な90年代後半のSF映画フィフス・エレメント』-1997-はSF映画の金字塔を打ち立てたものだとされて居る。

The fifth Element (Full HD) Hollywood movie 2018 in Hindi dubbed ヒンディー語吹き替え版

 

本作はかの名作『レオン』を手掛けたリュック・ベッソン監督により、ブルース・ウィリスを主演に迎へ百億円もの巨費を投じ製作された。

世界的デザイナージャン=ポール・ゴルチエによる斬新な衣装は美しくしかも古びず、かのミラ・ジョボビッチのデビュー作としても当時から話題を浚った。

 

ところが此のSF映画、妙に哲學的であったりディストピアとしての地球の暗ひ未来を描くものではなく案外軽く仕上げられて居る。

逆にコメディータッチなのでもあり決して深刻なジャンルのものなのでは無ひ。

 

要するに其処で考へ込むことは不用で単に面白ひ類でのSFアクション大作なのだ。

 

しかも其の結末も普通にハッピーエンドで宇宙の破壊者としての邪悪な存在から人類は救われる、と云ふタダ其れだけの話なのだ。

 

其れでもいまだに何故フィフス・エレメントが名作だと評価され得るのか。

 

其れは登場人物が個性的でもってある意味で其処に人間味が溢れて居るからなのだらう。

 

 

但しSF映画に於けるかうした一種の楽観性の部分はむしろ此の作品を持って終わりを告げたのだらう。

廿世紀末には現在程の社会の閉塞感が示されて居らず、其れは主に気候変動による将来への不安要素がより少なかったからなのだらう。

 

インデペンデンス・デイ』-1996-『アルマゲドン』-1998-と云ったヒーロー物SFとは少々異なり一癖はあるが全体に軽ひ仕上がりの映画となって居る。

即ち地球上の生命は何らかの方法により救われる筈だとの希望的観測がまだ幅を利かして居た頃の映画だ。

 

 

SF映画の金字塔『フィフスエレメント』について知っておきたい10のこと

「ヨーロッパには四元素説と呼ばれる、万物が火・風・水・土から成り立つという思想があります。本作のタイトル『フィフス・エレメント』は、この四元素に並ぶ五つ目の要素としての”愛”を意味します。リュック・ベッソンはまだ10代だった1970年代に、四元素を含む『フィフス・エレメント』のコンセプトを自ら思いついたと語っています。」

 

哲學的だと言へば哲學的なのが此の四元素説と愛との結合である。

が、愛とは何せ抽象概念なので具象的に其れを指し示すことが難しひ。

 

だが映画の中での愛は生命を維持する為の根本の力であるかのやうに描かれて居る。

要するにエロースとアガペーの丁度中間地帯での「生命への愛」のやうなものが語られて居るやうに思ふ。

 

フィフス・エレメントとしてのリー・ルーは其の生命の維持としての愛の象徴的存在なのであらう。

対するコーベン・ダラスとは古き良きたのもしき男性のことだ。

 

つまるところ此れは廿世紀の古き良き価値観のことであり、まさに其の価値観の結合により最終的に地球は破壊から免れることとなる。

 

 

だが二十一世紀にはすでにそんな構図さへ成り立たなくなって来ても居やう。

 

二十一世紀の破壊とは其れ即ち外部からの破壊では無く内部からの破壊なのだ。

 

其処でつまりは人間とは善なる存在だとはもはやお世辞にも言ふことなど出来ぬ。

 

左様にむしろ人間とは宇宙の悪役であり世界の破壊者其のものなのだ。

 

其のやうな認識こそが今まさに人間にとり求められて居るのではなひだらうか。

 

 

尚『レオン』は矢張り今アマゾン プライム・ヴィデオで視聴することが可能だ。

 

 

少女と殺し屋のおじさんの危険な純愛《映画:レオン》【#ラッシュムービー】-レオン あらすじ-

 

さように映画は実存としての生き様ー苦しみに充ち矛盾に充ち危険に充ちかつ愛に支えられし実存としての運命ーをも描き出す。

 

傍目にはとてもまともには見へぬ悲劇へと至る純な生き様の中にもかように愛は存する。

 

其の愛こそは愛無き此の世界ー本質としての愛は何処にも成立せずーの実相に唯一対抗し得る只一つの個としての愛だ。ー実存としての愛ー

 

 

其のやうにリュック・ベッソンが此の二作で追い求めて居るものとは過去でのさうして現在での愛の形である。