目覚めよ!

文明批判と美と心の探求と

合理主義の帰結としての破壊



どだい脱近代などと申しましても其れは夢物語の如きものでまさに机上の空論、砂上の楼閣の如きものそのものなのでありましょう。

しかしながら、近代の文明の諸要素が今まさに此の世界の圧迫を強めかつ諸に於ける不安定さを生み出しつつあることもまた確かなことなのであります。


21世紀は人類にとって何故これほどまでに生きにくく、かつ不安定な時代となって仕舞って居るのか。

今や誰しも其のことにつき切実な問いを発せざるを得ない状況に至って来て居ります。


無論のことわたくしも其のことにつきこれまで随分と考えて参りました。

其れで、其処で結論として得られるのが合理主義の行き過ぎということでありました。




言うまでもなく合理的思考が現代文明を貫いて流れて居る訳ですが、是がもはや暴走の域に達して居ります。

しかも其の暴走を引き起こす内容は難しい話なのではなく非常に簡単な原理です。


第一近現代に於ける文明の問題というものは皆単純な問題ばかりなのであります。

本当の本当は、一切其処に複雑さなど宿って居りません。

須らくが小学生レヴェルでの問題です。




よろしいでしょうか、ではまず考えてみましょう。

1.たとえば流れとしてある少子化で将来の日本は危うくなるのだとしたならば、何故現行の政権は女性の社会進出などという正反対のことを唱えて居るのでしょうか。

2.またたとえば五十年後には温暖化と海洋の酸性化により危機的な食糧問題や食糧をめぐる紛争や戦争が勃発することだろうとして、では何故現在の国際社会は国ごとの食料自給率を上げ技術開発や工業化の波を抑え農業重視の政策を打ち出さないのでしょうか。


其の答え

1.国が亡ぼうがどうしようが女性の社会進出即ち人権の確立、平等主義という近代主義の支柱を堅固にし推進することこそが大事である。

2.近代とは其の工業力でこそ自然を屈服させて来ただろう歴史過程である。ゆえに野菜や米ばかり作って来て居るよりは工業化して経済発展させることの方が大事である。


とこの期に及んでもなおそうした単線思考しか成立させられないのです。


何故こんなことに陥って仕舞うのでしょう。



要するに其れが合理主義の流れだということです。

日本の国が少子化で滅びそうなのに、或は自然破壊でやがては人類も滅びそうですのに、其処でなおアホらしき合理的単調思考のみを奉じてやっていくしかないのであります。


だから其の様やまさに自ら危険領域へと飛び込んでいく蛾のようなもので、ズバリ言えば其れこそが自滅の為の自滅、人類の自殺ということです。

合理主義という思考法には、元々そうした部分が宿されて居るのです。





3.「火星への夢」などとも称して火星への有人探査を推進させている科学者の群れがあります。其処で彼等はまるで少年の如くに目を輝かせそして大金を使ってあの火星で何かを企てようとして居ます。


其の答え

科学の力で火星を植民地化して其れで一体どうするというのでしょう?この地球そのものがもはや危ないというのに、彼等は一体何を期待してそんな無謀な科学的、技術的賭けに出て居るのでしょう。

そんな大金があれば其れを即地球の環境を救う方向の分野へ投資しておくべきです。或は宗教団体にでも寄付し是非精神の方で人間を救って頂くべきです。でもあくまで科学者にとっては地球を救う事や人類の精神を救うことよりも火星を征服して乗っ取ることの方がより大事なことなのでしょう。即ち其れこそが科学の勝利だ、ワッハッハー。



この様に近代合理主義はもはや歯止めの効かぬ世界へと突入して来て居ります。

謂わば自分で自分が止められない訳ですね。


ちなみにこんなものは幾らでも並べていくことが出来ますよ。


4.コンピューターゲーム化される戦争により良心の呵責なく人を殺せ其の結果戦争に勝つことで自国の利益を確保出来る。


其の答え

コンピューターに置き換えられた殺人行為に於いては、人間に心理的苦痛を感じさせることなく任務を遂行することが可能である。よってより合理的に敵を抹消することが出来よう。だからこれも勝つ、という戦争の目的にとっての効率的選択であるに過ぎない。其の結果より多くの人が死のうがどうしようがさして心は痛まない。大事なのはあくまで自国の利益の確保であり其の利益をより合理的に得られるようにするということだ。




5.いざ工場がロボット化されれば、彼等は飲まず食わずで24時間、365日働き続けることが可能だ。すると生産効率が劇的に改善され利益の方も格段に上がる。会社はドンドン大きくなりドンドン儲かる。これはもう濡れ手に泡で、まさに万々歳だ。


其の答え

でもそのうちに人工知能化されたロボットの反乱により経営陣も皆ロボット化されるであろうことが必定である。つまり会社から人間というものが抹消され機械の会社としての大利益追求合戦のみが地球上に繰り広げられることとなろう。そして利益はロボットが独り占めだ。ロボットが人間をドレイにして人間小屋を作り其処に彼等を住まわせる。我々はもはや家畜そのものだ。残飯位しか与えて貰えない。嗚呼、情けなや。




6.科学的帰結からも、明らかに人間は犬や猫よりも高等な生き物である。また人間でも幼児は弱いので時には虐待しても良い。

其の答え

ギャー、こんなところに虐殺された犬猫の死体が!ギャー、こんなところに虐待されし哀れな児童が!即ち弱い者には強く、逆に強い者には弱いのが人間の心理に於ける合理主義的な帰結である。





7.宗教は非合理だから信じなくとも良い。宗教なんてまさに前時代的な遺物でそんなものを信じて居たら科学的発展などかなわぬ。宗教こそは敵である。人類を貶めていくであろう敵である。




其の答え

必ずや神仏の罰が汝に当たることであろう、この合理主義めが!お前こそがまさにお前こそが現代を腐らせて仕舞って居るのだ。根本から腐らせて仕舞って居るのだ。






真面目な話、此の21世紀が生きにくくなって居るのは合理主義文明の必然的帰結なのだと思われます。


特に規制緩和にばかり血道を上げる新自由主義の掲げる合理的な大欲望の追求の世界こそは人類畢生の敵でありまさに自分で自分の首を絞める行為そのものなのでありましょう。

其のグローバルな新自由主義路線からは不毛の利益ばかりが生み出され本来ならば血と肉と汗ー労働ーと涙ー苦悩ーに彩られし人間の体温を其処に感じ取ることなど能わずだ。



8.利益が大事か、其れとも人間が大事か。


こんな小学生でもカンタンに分かる問題が、此の複雑化し一種虚構化された世界では分からなくなって仕舞って居る。


其の答え

勿論人間の方が大事に決まって居りますがな。利益だの国益だの、そうした虚妄のパワーの確保に踊らされて其れで現代人は真に幸せだと言えるのでしょうか。


其の答え

いえいえ、全然幸せなどでは御座いません。むしろ不幸せの絶頂にあります。21世紀の人類は不幸せそのものです。



ところで何故不幸せなのだろうか?


其の答え

なんとなれば、元より人間といふものは利益ばかり追い求めて生きるものではなく、しかも力による世界秩序の統制、パワーバランスの構築のみから安定感と安心感を得られるというものではないからなのだ。




そんな世界規模でのややこしい闘争、競争ばかりをして居るよりは、今まさに此処に在る幸せ、其の小さな幸せをしかと握りしめて居ることの方がずっとずっと幸せである。

ところが、合理主義的思考は歯止めのかかりにくいものなのである。


何故なら、誰しも宗教を全部が全部信じて居る訳ではなくとも科学の云う事だけは信じて仕舞うからなのである。

宗教で信じることの出来得る真理はより限定的範囲にとどまるのであるが、こと科学的真理ともなると其れがより普遍的かつ客観的なものとなる故人類の多くがいともたやすく其れに屈して仕舞うのである。



ですが科学的真理とは元より血肉の通わないものなのである。

だからこその合理的思考が其処に成立して居るのである。



9.人類が滅ぼうがどうしようが合理的思考は未来を変え突き進むことだろう。


其の答え

おお、何と恐ろしい考えであることよ!合理的思考は、何と人類の存続のことを全く考えて居なかったのだ。つまりは其処で人類そのもののことよりも合理主義の完遂の方が大事なのである。人間がどうなろうがそんなことはどうでもよろしい。むしろ其のロボットが完成されること、かのコンピューターゲームが世界を制圧すること、人類を火星へ移住させスッカリ宇宙人にして仕舞うこと、アンドロイド妻が出来て独身男性が喜ぶこと、アンドロイド夫が出来て独身女性が喜ぶこと、子供が生まれると何かと金がかかるので其の習慣を止め代わりにクローン人間を製造し是非そいつらに奴隷の役目をして貰おう、などといったことの方がずっと大事だ。




また昨年は我が国で中小企業が三万社弱も廃業して居るそうですがそんなことはこのグローバル合理主義の世界では屁の河童のことであるに過ぎぬ。

大事なのはグローバルな大企業として兎に角大きく儲けることだ。そしてより大きく国威を発揚し全世界を屈服させていくことだ。

そして合理主義の成果としてのロボットやコンピューターでもって人間自身を制圧する。





元より宗教などはもうとうに死んでおるわ、ワッハッハー。

釈迦やキリストなどもう何処にも居ない。居るのは俺、此の俺だけなんだよー、ワッハッハー。


其の様にマッドな世界観の内に居て、精神の正常値を保つことは確かに難しい。


だが今わたくしにはあの天からの声が確かに聞こえる。

仏様からの示唆が確かに感じられる。


其処に曰く、其の合理主義文明とこそたたかえ。

お前は其の為にこそ今此処に居るのだ。


お前のすべてを賭けて闘うのだ。

其処にアンドロイド妻が居ようが居まいが兎に角やるのだ。


そうして世界を合理主義の帰結としての破壊から救うのだよ。